ソフトウェア開発の名著「ピープルウェア」を完読した。
- 作者: トム・デマルコ,ティモシー・リスター,松原友夫,山浦恒央
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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先日読んだ人月の神話は原著を直訳したような部分が多くて読みづらかったが、ピープルウェアは訳が良いのかトピックに興味が持てたのか、スラスラと読むことができた。
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この本で最も感銘を受けたのが、高品質がコスト低減をもたらすという主張である。
普通、品質とコストはトレードオフの関係にあると考える。
しかし人間は感情で動く生き物なので、理屈通りにはいかない。
品質を下げてしまうと、それはつまらない仕事になってしまう。結果、作業者のやる気は失せて生産性は低下する。
逆に高品質なものを作ろうとすると、技術者の職人魂に火がつく。結果的に熱心に仕事を進め、高い生産性で良いものができる。
シチュエーションや業界によっても事情は様々だろうから必ずしもそうなるとは思わないが、こういう考え方は面白い。
確かに自分の知識・経験が生きる難しい仕事にチャレンジするときはワクワクするし、時間を忘れて仕事に没頭できる。
また、チームの結束に関しては、「黒集団チームの伝説」という章が面白かった。
これは開発したプログラムをテストしてバグを見つけるテスターのチームで、徹底的にプログラムをテストするプロフェッショナル集団としての職人魂を持っていた。
以下、引用。
陰険なイメージをふくらませるために、チームのメンバーは黒い服を着用しはじめた(ここから黒集団の名がついた)。プログラムがテストに引っかかると恐ろしい声でケタケタ笑った。
開発者は彼らを嫌ったようだけれど、結果的に高品質なプログラムが提供されて会社は喜んだとのこと。
チームメンバーは全員が黒集団の一員であることを誇らしく思っていたことだろう。こういう結束したチームは良い仕事をする。
良い仕事は、働く人間のこだわりから生まれる。そして互いに認め合った個人がチームとして結束したとき、より素晴らしい仕事をする。管理者がこのことをちゃんとわかっていると、部下は仕事をしやすい。
その他色々と面白いトピックはあったのだが、どちらかというと管理者に読んでほしい本だと思った。