人にVBAを教える機会があるので、以下のリファレンスを購入した。
- 作者: 工藤喜美枝
- 出版社/メーカー: ムイスリ出版
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 単行本
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買ったのはジュンク堂の梅田本店だけど、今しがたAmazonでレビュー。
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Amazonの新品在庫が1点なので、確証はないがたぶん絶版書だと思われる。
この表紙、どうみても売れそうにない。
現にジュンク堂でも、しゃがまないと取れない一番下の段の、一番目立たない端のほうで見つけた。
第一印象は「何これ?」だった。
いまどきの本にしては装丁が古臭く、Excel97本の売れ残りかと思っていた。
最近の本には載っていないVB6時代のテクニック的なものを期待してパラパラとめくってみたが特にめぼしい情報もなく、数か月ほど無視していた。そんなことも忘れて、たまたま再度手に取ってみたら「あれ、なんか見たことあるぞ」と気づき、その次に画像がExcel2010のものであることに気づき、出版年が2012であることを確認して改めて驚いたわけだ。
結局なんで買うことにしたのか、ここで最初から説明するのも面倒なので、以下に私のレビューの全文を引用しておく。
とっつきにくそうな表紙ですが、VBAを教える側の立場としては非常に使いやすいです。
他のVBAリファレンスはいろいろ詰め込みすぎて辞書サイズのものが多いですが、これは厚さたったの9ミリ。携行するのに非常に便利だと思います。VBAの入門者が使うであろう基本的な内容はおさえられています。
基本的な内容に絞ってある分、項目が探しやすくて無駄がありません。なかでも気に入ったのが、オブジェクトについての以下の説明書きです。
引用:操作の対象となるアプリケーションの要素をオブジェクトといいます。Excel(ブック)、ワークシート、セル、グラフ、フォームなどがあります。変にたとえを持ち出したりせず、これ以上なくシンプルで、本質的だと思いました。
惜しむべくは、表紙の装丁が硬いこと。
まるで工業高校の教科書のようで、他の入門書と比べて、まったく商売っ気が感じられません。
私は隠れ名書みたいで気に入ってますが、これじゃ売れないでしょう。
さて、レビューの中でも書いたけれど、私が一番気に入ったのは「オブジェクト」に対する説明である。Javaの本でもクルマにたとえたり、たい焼きにたとえたりという例が多かったので、「たとえ話」を持ち出すのが通例だと思っていた。ところが、そうしたたとえ話が初学者をますます混乱させるという批判を昔どこかで読んだのを覚えており、じゃあどう説明すればよいのかといったことが長年片手落ちになっていたのだ。
Objectを辞書で引くと、「事物」とか「対象」とある。
私が知っているほとんどの書籍がObjectを「事物」として説明しており、結局私が作った入門教材でも、クルマにたとえてしまったわけだけれども、この本ではObjectが「対象」として説明されている。
この本でその簡潔な定義を発見したときは、まさに目から鱗だった。
また、マクロの記録を「コードを調べる機能」として一番最後に紹介している点も良い。
商業出版としては到底成功しているように見えないけど、世に出す価値のある良書だと思った。
余談
著者の工藤喜美枝さん、他にもムイスリ出版で出してるようで、確認してみた。
- 作者: 工藤喜美枝
- 出版社/メーカー: ムイスリ出版
- 発売日: 2012/04
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
Access入門書は今別に必要ないけど、表紙のそっけなさと高評化のギャップが気になってちょっと買ってみたくなる。
大学で講師をされているようなので、ひょっとして生徒に教科書として売るついでに一般販売しているんだろうか。
あるいは単に趣味として作っているんだろうか。でなきゃこの商売っ気のない表紙はいったい何なのか。
そもそも売る気あるのだろうか。。まったく謎であるが、良い著者であるのは間違いないと思う。