今回は普通のWindowsのお話。
デスクトップのファイルを、マイドキュメントやCドライブに移動させるとき、通常は切り取り・貼り付けかドラッグ&ドロップを行う。
一方、コピー・貼り付けという手段もある。
見た目には、移動元のファイルが残るか、消えるかの違いしかないけれど、中身の動作は大きく異なるので処理速度も全然違う。
難しい話が苦手な方もいると思うので、先に結論だけ表にまとめておく。
移動先 | 切り取り | ドラッグ&ドロップ | コピー |
---|---|---|---|
同じドライブ | 高速・移動元は消える | 高速・移動元は消える | 低速:移動元は残る |
別のドライブやファイルサーバー | 低速・移動元は消える | 低速・移動元は残る | 低速・移動元は残る |
同じドライブ内なら、切り取り・貼り付けが速い。
別のドライブへの移動なら、速度は変わらないので安全重視(元ファイルが残る)でコピーが良い。
これは、コピー先のドライブが不良品だったら、データが消失するためだ。
さて、以下は原理の説明。
Windowsは下図のようにどのファイルがハードディスクのどの位置に入っているかをインデックス(目次)として管理している。
上の例でいうと、AというファイルがC:\にあり、物理的にはハードディスクの8番地に書き込まれている状態だ。
切り取り&貼り付けでデスクトップに移動したらどうなるかというと、ハードディスク上は物理的には移動せずに目次だけが書き換えられる。
物理的な移動を伴わないので、どれだけ大きなファイルだとしても書き換えは一瞬である。
それに対し、コピーの場合はデータそのものをコピーするので時間がかかる。
結果は以下のようになる。
ここまでは同じドライブ内での説明であるが、別のドライブへ切り取り&貼り付けする場合はもちろん物理的にデータも移動する。
Cドライブがいっぱいになったから、外つけドライブに移そうという場面で、目次だけ変わっても意味がないからだ。
したがって、コピーした場合と同じだけの時間がかかるので、コピーの方が良い。
ドラッグ&ドロップでは、同じドライブ内の場合は切り取りの動作になり、別のドライブならコピーになる。
次にファイルを消去した場合はどうなるか。
実際、どれだけ大きなファイルでも削除はそんなに時間がかからない。
実はファイルの消去も、Windowsは目次を消しているだけである。
上の例でいうと、番地8は管理上「空き」となったが、次のデータが入ってくるまでは削除したはずのデータ自体が残っている。
ゴミ箱を空にしても、Shift+Deleteで直接削除しても、ハードディスク上のデータはすぐには消えない。
なぜそんな仕組みになっているかというと、その方が速いから。
だから、ファイナルデータ等のファイル救出ソフトで、救い出すことが出来るというわけだ。
ただし、「空き」となっているので、放っておくとどんどん別のデータで上書きされていく。
消してしまったら、速やかにこれらのソフトを使わないと、救出率は下がってしまうので注意。
逆に、パソコンを処分するときに個人情報を守るには、データ抹消ソフトを使う必要がある。
データ抹消ソフトは、空きとなっている領域も含めて、ハードディスク全体を0で上書きしたり、1で上書きしたりを繰り返すことで、完全に消去するツールである。
これで消してしまったらデータ復元ソフトでも復旧できない。
ファイルシュレッダーソフトというのも存在するが、これは特定ファイルを消す際に、データのあった物理領域を消してくれるツールである。
プライバシーに敏感な方は、使ってみても良いかもしれない。