t-hom’s diary

主にVBAネタを扱っているブログです。

技術的概念の説明で使用する3つのアプローチ「本質・具象・比喩」とその落とし穴

今回は技術的概念の説明において、なぜ受け手が混乱してしまうのか気づいたことがあるので備忘録がてらつらつらと書き記しておこうと思う。ちなみに私自身もそんなに説明がうまいと思っていないので、誰かの説明をDisる意図は全くない。自戒も込めての記事である。

技術的概念にも色々あるが、見たり触ったりできない概念も多く、そもそも説明が難しいことが多い。そこでなんとか受け手に理解してもらおうと様々なアプローチがとられる。

私はこのアプローチを表題の3種類に大別できるのではないかと考えた。

説明に使用する3つのアプローチ

# 種類 岩波国語辞典による定義
1 本質
(ほんしつ)
そのものとして欠くことができない、最も大事な根本の性質。
2 具象
(ぐしょう)
物が実際にそなえている形。
3 比喩
(ひゆ)
物事の説明や描写に、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現すること。


例えばプログラミングによる「変数」の説明をする場合を例に挙げて、それぞれのアプローチによる説明を例示してみる。

アプローチ 説明の例示
本質的な説明 変数とは、データに名前を付けて扱いやすくするための、プログラミング言語の機能である。
具象を用いた説明 変数はプログラミング言語の実装系によって記号表で管理され、その実態はメモリ上の電気信号である。
比喩を用いた説明 変数はデータを入れる箱のようなものである。

分かりにくい説明・混乱を招く説明のアンチパターン

比喩のみの説明

説明する側は、比喩による説明はきっと分かりやすいだろうという思い込みが強くなりがちである。
確かに比喩表現は、既知の概念との共通点をヒントに本質の理解を助けてくれる。
ただし、本質の説明をすっ飛ばしていきなり比喩に入ってしまう失敗がよくある。
本来は比喩表現から、本質的な概念を抜き出して欲しいのだが、本質をストレートに説明することなく比喩だけを用いてしまうと、受け手は本質的な概念ではなく具象を抜き出してしまう。

具象のみの説明

比喩表現の失敗によるアンチテーゼ的な考えで、私が一時期陥ったアンチパターンがこれ。
例えば変数を理解するには、具体的に言語系やメモリがどのように働いているのかを示すことが重要だと考えた。
確かに一部の人には有効だった。変数が箱やメモと言われてもふわっとしていて具体的に何なのか分からずに躓いてしまう方への処方箋として実装がどうなっているかを明確に示すことでスッキリ理解してもらうことが出来た。

しかしあるとき、具象は本質を実現するための手段にすぎず、その概念の本質そのものではないということに気づいた。

本質のみの説明

そもそも本質的な概念というのは目に見えなかったり、言語で表現する難しさがあったりする。
ズバッと本質を言ったつもりでも、予備知識のない受け手にとってはなんだかフワッとした説明に感じられる場合が多い。
それだけで理解するのはなかなか難しいように思う。私も一時期このアンチパターンをやってしまったことがある。

どのアプローチを取っているのか不明瞭な説明

比喩で説明しているのに、受け手は具象や本質だと勘違いしてしまう失敗も多々ある。
たとえば変数は箱であるという説明で、コンピューターの中に本当に箱ないし箱を模した何かがあると本気で信じていた人を見たことがある。いや冗談ではなく。大抵の一般人はPCの中身を開けたことが無いのだ。メモリに顕微鏡で見ないと見えないくらいの小さな箱が物理的にびっしり詰まっていることを想像していてもおかしくない。

この記事を書くきっかけになったのもこのアンチパターン。
先日、材料力学の勉強でYouTubeで応力の説明を聞いていて、「内力を調べるために梁を切断し、その断面が云々」という表現が出てきたのだが、私は実際に切って分析したりするんだろうかと勘違いしてしまった。別途書籍を買って内力の説明を読んだ際、「頭の中で仮想的に切った断面を考える。仮想断面。」という表現が使われていて、ようやく説明の意味が分かった。

こういった少しの言葉選びや前置きの説明でこのアンチパターンを避けることができる。

私が考える分かりやすい説明

私は、本質・具象・比喩をすべて組み合わせて説明し、受け手が混乱しないように今どんなアプローチで説明しているのか分かるように慎重に言葉を選ぶというのが良いと思う。

受け手には個人差があるので、必ずしもすべて組み合わせなくても理解してもらえたという経験はあると思う。でも、たまたま本質の説明は既に別のところで受けていて、比喩表現がパズルの最後のピースだっただけかもしれない。

また、受け手の前提知識やどこまで分かれば腑に落ちるかという納得閾値には個人差がある。だから、納得閾値の低い受け手は簡単な説明で分かった気になってさくさく次に進めるが、納得閾値の高い受け手は細かい具象をある程度イメージできるようになるまでは腑に落ちずなかなか先に進めない。残念ながら私はこのタイプで、損な性格だなと感じている。

よって、受け手のタイプや前提知識にかかわらず伝わる説明をしようと思うと、まず本質をズバッと言い切って、比喩で簡易的なイメージ持たせ、最終的には具象を細かく追っていき、具象で混乱した受け手を回収するために本質に戻って締めるという説明がベストなのではないかと思う。

以上

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