t-hom’s diary

主にVBAネタを扱っているブログ…とも言えなくなってきたこの頃。

ヘッドフォンアンプについて疑問に思ったこと

こんなタイトルなのに申し訳ないけども、今回はヘッドフォンアンプのレビューとかそういう話ではない。
私自身は音楽を聴くのに別売りのヘッドフォンアンプなんて付けないので、ポータブルアンプを店頭で見たときは素直な感想として「なんじゃこりゃ?」と思ったものである。

ざっと調べると、ヘッドフォンの音がハイパワーで高音質になるとか謳われていて当時はへぇそうなのかと思ったんだけど、最近オペアンプについて学習を始めて疑問が出てきた。

以下はオペアンプを使った反転増幅回路で、信号発生器から出力された正弦波を反転させて増幅させるという実験。

黄色が元の波形で、青が反転増幅された波形である。(反転はまぁ今回の話とは関係ない)

波形を眺めていて思ったんだけど、アンプって基本的に入力信号を増幅してるだけなので、ハイパワーは分かるとして高音質ってのはおかしくないかということに気づいた。基本的には入力される波形が歪んでいれば、出力波形も歪んだまま増幅されるはずなのだ。

それで色々考察したところ以下の条件なら高音質に感じるということがありうると結論づけた。

A) 元の音源に乘っているノイズをヘッドフォンアンプでカットしてくれる
⇒つまり波形の再現度は落ちてるが、音的には心地よくなる可能性あり。
 ただ、ノイズが乘ってればの話だし、そんな良い機能があるなら具体的にアピールしてるはずなので、書いてなければ多分違う。
B) DAC機能を指して高音質と謳っている
⇒これが一番可能性が高い。後述。
C) 再生機器側で音量を絞って増幅をアンプに任せた場合の話をしている
⇒個人的な経験として、再生機器(Raspberry Pi)を最大音量にしてスピーカーに繋ぐと音割れしてしまったことがある。そこで再生機器側は音割れしないレベルまで絞って、外付けアンプで増幅したらいい感じになった。これもありうるけど、アンプを推す記事見ると再生機器からの出力は最大が良いと書かれてるので多分これじゃない。
D) 音が良くなったと感じるのは気のせい
⇒つまり単なるプラシーボ。これも有力候補。


DACはDigital to Analog Converterのことを指す。
パソコンや音楽プレイヤーの中には音楽はデジタル形式で保存されている。どういうことかというと、レコーディングされた音波は等間隔でサンプリングされて、平たく言えばその座標がデジタルデータとして記録されているのだが、スピーカー等で鳴らすときは必ずアナログ信号に戻される。

アナログ信号は音波がそのまま電圧波形になるので電源ノイズなどで電圧に変動があればモロに影響を受けて音質が劣化する。一方でデジタル信号は実際はHighとLowの2値で表されるため、通信の途中で変形してもHighかLowかの識別さえできれば問題なくデータが復元できる。

つまりデジタル信号で処理されているうちは、よほどのことが無ければデータが劣化しないという話である。

先ほど述べたとおり、結局スピーカー等で鳴らすときは必ずアナログ信号に戻さなければならないのだが、再生機器側の音声処理がショボいと波形が忠実に再現できないことがあるので、電源等の各種ノイズを考慮した高品質なヘッドフォンアンプ側でアナログに戻してあげることで歪みを極力抑えるということをしていると思われる。

なお普通のヘッドフォンジャック等から出ている信号は既にデジタルからアナログに戻されている為、DAC機能で高音質と謳っている製品であればジャックの接続ではなくてUSB接続か何かだと思う。

ジャック接続の製品で音がよくなるっていうのは、たぶん気のせい。
まぁ音の好みは人それぞれなので、波形の再現度が下がった結果として好みの音に聞こえるということも無くはないかもしれない。本人が満足してるならそれはそれで良い買い物なんじゃないかと思う。

オーディオマニアには本当に技術的に詳しい人もいれば、主観と経験のみで良し悪しを語る方もいる。メーカーも製品を売りたいので嘘にならない範囲で絶妙な謳い文句を書く。まぁ高音質ってのも主観なので書いて嘘にはならないんだろうな。入力波形再現度99.999%とか書いちゃうと測定できてしまうのでアレだけど「高音質」と書かれてそうでもないなと思っても耳とか好みの問題と言われればそれまでだし。てな感じで、ちゃんと根拠があるものから迷信めいたものまで混然一体となってオーディオ沼を形成しているんだろうなと思った。

まぁ多少の誇張があってもプラシーボ効果が発動すれば元は取れてるのかもしれない。

今回は高音質という部分について疑問を感じたので書いてみたが、ハイパワーという部分はちょっと調べたら必要性を理解できた。世にはノイズが乘りにくいようにインピーダンス(交流抵抗)を高くしたヘッドフォンがあるらしい。抵抗が大きいということは電圧を十分に上げてやらないと音が出にくいということなので、インピーダンスが高いヘッドフォンでそこそこの音量で聴きたい場合はそもそもアンプが必要らしい。ということでアナログ接続のアンプが無意味だと言いたいわけではないので誤解されないよう付け加えておいた。

以上。

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