t-hom’s diary

主にVBAネタを扱っているブログ…とも言えなくなってきたこの頃。

変数・関数・オブジェクトが「いまひとつ分からない」という感覚の正体を考察

プログラミングでは日常生活であまり耳にしない言葉がたくさん出てくる。

たとえば、変数・関数・オブジェクトなど。

説明を聞いてスッと理解できる方もいれば、なかなか意味が分からずに苦労したという方もいるだろう。

さっぱり分からないということはない。そして使ってみろと言われて使えないわけでもない。…にもかかわらず、いまひとつ分からない。なんかもやもやする。スッキリしない。

では一体なにが分からないのだと聞かれても困る。なんだかよく分からないとしか答えようがない。そんな経験はないだろうか。

というか、多くの人がこのように感じながら日々使っているうちに慣れてしまった方が多いのではないかと思う。

そして他の人に教えるときも「慣れるしかない」などとしたり顔で言ってしまうんだ。

でも、本当に慣れるしかないのだろうか。

「慣れるしかない」というのは、場合によっては自分がうまく説明できないのを誤魔化したように聞こえることがある。完璧に説明できなくてもいいから、もう少し納得度の高い答えを示せないだろうか。

それで私はここ数日、この「いまひとつ分からない」という感覚の正体をもう少し正確に言語化できないかと悩んでいた。まず敵を知らなければ対処のしようがないからだ。

それでいろいろ調べていたところ、認知心理学の分野で「概念形成」という言葉を見つけた。

何かを理解したというのは、言い換えると頭の中で概念が形成されたということで、「いまひとつ分からない」というのはつまり、概念形成がうまくできていないという状態なのではないか。

ではどうすればうまく概念を形成することができるのか。
その前に、概念という言葉をはっきり定義しておこう。概念を形成しようというのだから、肝心のそれが何なのかはっきりわかっておく必要がある。

ここで国語辞典を取り出してくる。

岩波国語辞典より

概念-同類のものに対していだく意味内容。
ア)同類のもののそれぞれについての表象から共通部分をぬき出して得た表象。
イ)対象を表す用語について、内容がはっきり決められ、適用範囲も明確な、意味。
ウ)俗に、複雑なものに対する大まかな認識内容のこと。

このうち(ウ)の意味で理解している方も多いと思うが、今回扱うのは(ア)と(イ)である。

で、またここでややこしい言葉が。
表象(ひょうしょう)とは。。。

岩波国語辞典より

現在の瞬間に知覚してはいない事物や現象について、心に描く像。イメージ。

い、、一応知覚も調べておくか。。

岩波国語辞典より

感覚器官を通じて、外界の事物を見分け、とらえる働き。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚など。

つまり、たとえば「変数」に対する概念を形成するとは、数ある「変数」に対する脳内イメージのうち、共通するイメージを抜き出したものを脳内に形成するということを指す。

よく変数は箱に例えられる。私は箱だと説明されて「なるほど箱か」と何も疑問に思わなかったので良かったけれど、一定以上の人がこの説明で躓くらしい。

そこでしばしば、「変数=箱」モデルはあまり上手い例えではないとの指摘がなされる。そしてメモに例えたり、名札に例えたり、実際にどうなっているのかメモリの動きを説明したりという試みが行われている。

しかし先ほどの概念形成の定義を考えると、どれが良いということではないような気がしてきた。

もう一度言うと、「変数」に対する概念を形成するとは、数ある「変数」に対する脳内イメージのうち、共通するイメージを抜き出したものを脳内に形成するということを指す。

変数とは箱であるという説明をいくら繰り返しても、共通するイメージは「箱」そのものである。一方、メモであるという説明を繰り返しても、共通するイメージは「メモ」そのものである。

箱という説明で躓いた人がメモという説明でなるほど!となるのは、メモに例えるのが箱に例えるよりも優れているということではなく、複数の事例を見ることで共通する特徴を捉えやすくなるからだろう。

変数がハコにもメモにも似ているのであれば、まず消去法で変数が立方体である可能性は消える。

では具体的なメモリの動きを説明するのはどうか。複数の人に説明してみて、これは変数の概念を形成するのに極めて効果的だった。しかしこれも、ハコ・メモといった既存の説明を受けた後でのことであるから、メモリの説明単体で変数を説明するのは難しいかもしれない。

それに変数におけるメモリの働きはたまたま実装がそうなっているということにすぎず、変数の本質かと言われるとやっぱり違う気がする。

プログラミングにおける変数とは本来、色も形もない純粋な概念なのだろう。だから人に説明するにはハコやメモといった比喩や、実装という現実を使って、事例の形で言語化するしかない。

よく分からなくても使っているうちに慣れるというのは、つまりコーディングを通じて脳内にたくさんの事例をため込めば自然と概念が形成されるということ。

だから、「いまひとつ分からない」から「はっきり理解できる」に移行するために「慣れる」という手段は有効であるが、「慣れるしかない」わけでもない。

いろんな切り口から説明すれば共通項が概念として形成されるし、たとえ話だけで理解されない場合は具体的な実装に踏み込んでみるとスッキリ理解していただけることが多い。

それでもうまく説明できないときは、自分の力不足であることを認めたうえで、申し訳ないけれど実際に使いながら慣れてくださいというと好印象だと思う。

マクロ作成を安請け合いしないという選択

「こんだけVBAの記事を書いておいてよくもまぁ」という声が聞こえてきそうなタイトルである。
しかし安請け合いがよくないというのは常々思っている。

執筆のキッカケになったのはこの記事。
akashi-keirin.hatenablog.com

以下、序文の引用。

最近、

自分には一文の得にもならない、純粋に他人のためのマクロ

を作らされることが多くなって

これを読んで思わず、

。。これ、プログラマーの仕事じゃね?

と突っ込んでしまった。
ここで言ってるのはプログラムを組める人全般のことじゃなくて、プログラムを開発する目的で正式に雇用された正規プログラマーのこと。

どうやらドツボにはまってしまったようだ。

私も似たような経験をしたことがある。ただ私は業務請負の客先常駐という形態で、お客様の組織が何度か大きく変わったので、幸いにも私はリセットする機会があった。しかしあまりマクロ作成を安請け合いしてしまうと確かにそういうことになるというのは良くわかる。

ただ私の考えは上で紹介した記事ほどマクロ作成を請け負うことを忌避しているわけではない。

まずいのはあくまで「安請け合い」であると考える。

本質的な問題は、依頼者が「減るもんじゃあるまいし、ケチなこと言うな」と考えている点だ。

時にマクロを作る側でさえ「減るもんでもないし、できるんだから、やってあげよう」と考えることがある。

「減らない」という考え。

ここにすべての元凶があるのではないだろうか。

そもそも他の皆が自分の好きなことや遊びに費やしている時間を貴方はプログラミングの習得に費やしたのだ。他の皆が自分の好きなことや遊びに費やしている給料の一部を貴方はプログラミングの書籍購入に充てたのだ。

今貴方が手にしているその能力は、すでに自分の時間やお金を費やした結果である。

もちろんそれだけではない。プログラミングというのは頭脳労働なのだ。実際、頭脳労働は気力を消費する。ゲームでも魔法を使うとMPが減るだろう。気力は定量的に計ることはできないけれど、確かに減るのだ。要するに疲れるのだ。

知識や技術、気力という見えないコストをきちんと理解してもらうためには、元手はタダではないと何度も根気よく説明しなければならない。

普段から、「さっさと帰る日は書店に立ち寄って勉強しているのだ」と吹聴しておこう。実際にしている日も、そうでない日も。
依頼仕事が遅れているときは、「昨日家でもいろいろ考えてたけれど、なかなか思うようにできないのだ。もう少し待ってほしい」と詫びておくとよい。実際に苦労していても、完成の目途が立っていても。

私は単に趣味と一致しているのでプログラミングの学習に費やす時間を苦労とは思ってないけど、実際に見えないところにコストがかかってるのは嘘ではないので、「あいつは見えないところで苦労している」という風に見せておかないと、「能力があるのにケチな奴だ」と思われる。

何の努力もせずに評価されないのはともかく、実際にやってるのだから、どんどんアピールして良い。
自慢のためではない。コストを理解してもらうためである。早く帰っても恨まれないためである。

勘違いしてほしくないのは、極力出し惜しみをしろと言いたいわけではない。

私だって毎日の3時間の仕事が5分になるって言うなら喜んで手伝う。それで皆が楽になるなら大したことではない。
価値ある仕事をしたときは、それ自体が心理的報酬になる。

しかし人間はどこまでも楽をしたがる生き物である。
「マクロってすごい。」こんな風に一度魔法を見てしまうと、ひょっとしてあの仕事も楽になるのではないかと次々とアイデアが浮かぶようになる。次第になんでもかんでも自動化したがるようになる。たとえ、ひと月に1度、30分で終わる仕事であっても。

その自動化は、自分が費やしてきたもの・これから費やすであろうものに見合った価値ある仕事だろうか。
傍から見てそれほど大変な仕事に見えない場合、単に依頼者が楽をしたいために貴方に甘えているだけかもしれない。
何でもかんでも引き受けるわけではないと、お断りしたほうが良い。あるいは自分の抱えている別の仕事と引き換えに引き受けるという手もある。

いずれにしても、つまらない仕事は安請け合いしないことである。請ければ依頼人は喜ぶが、貴方は内心つまらないと思っているのでイライラする。精神的にもよくないし、そのような仕事はたぶん、ビジネス的にも特にメリットはない。

Pythonスタートブックのレビュー ~徹底して比喩表現にこだわった良書

先日から気になっていた書籍 Pythonスタートブックを買ってきたのでレビューしようと思う。

Pythonスタートブック

Pythonスタートブック

ただ、Python学習の学習が目的ではなく、あくまで「プログラミング入門」として読んでいる。
プログラミング初心者に対してVBAの解説を行う際のヒントにするためだ。

Amazonレビューではかなり高評価が多く、唯一の星1つはKindle版がうまくダウンロードできなかったという書籍の内容とは関係のないものだ。(2017年3月7日時点)

星3つの中には「テーマが時代にそぐわず面白くない。説明がくどい、うざい」という辛口レビューも見受けられたがこれは上級者の意見。上級者にとって自明の事実まで親切丁寧にかかれているのでお節介に感じるのだろう。

逆に難しい・わからないという意見は見当たらず、プログラミング初心者からは概ね5つ星。ということは、まったくの初心者をターゲットにした書籍としては大成功ということになるか。

さて、本書であるが、とにかく徹底して比喩表現を用いている。

私は比喩によるミスリードがますます初心者を混乱させるという例をいくつも知っているので、最近は比喩表現の使用に慎重だった。ひとつ例を挙げると、以前別の方にプログラミングを教わったけど今ひとつ分からないという方に、「変数って浮いてるんですよね?」って質問されたことがある。

浮いてるって。。どこに!?
たぶん箱モデルでうまく伝わらず、教える方もメモリに記録されているということを知らないかあるいはうまく説明できず、目に見えないけどどこかに浮かんでいるといった曖昧な説明でお茶を濁したものと思われる。

浮いているという説明でますます混乱されていたので、メモリの仕組みからきちんと説明したところスッキリ理解していただけた。

このような体験があるため、私は比喩表現を避け、徹底して「事実・実態」の説明に拘るようになった。

ただ最近、事実に拘るあまり逆に難しくて分かりにくい解説になっているのではないかと思うことがある。

比喩表現には誤解のリスクもあるが、初めて出会う概念を既知の概念と関連づけて理解できるという優れた一面もある。適切に用いれば極めて有効な説明の手段である。いたずらに敬遠せず、適宜活用していこうということを悟ったのである。

それでPythonスタートブックである。もう一度言うが、とにかく徹底して比喩表現を用いている。ごてごての比喩表現。

つまりアンチ比喩に大きく振り切れた針をもとに戻すには、絶賛比喩中のこの書籍がよい薬になるのではないかと思って買った。

この書籍ではまずプログラミングの構成要素を、「道具と材料」に見立てて解説している。
以下に一部引用する。

たとえば、木製のイスを作ろうと思ったら、材料になる木と釘、道具としてはノコギリや金槌が必要です。

プログラミングにおいて基本となる材料とは、文字列や数字といった”データ”です。

Pythonにもプログラミングに役立つ道具がたくさんあります。その1つが、関数(かんすう)と呼ばれるものです。

ためしにプログラミング未経験者にこの道具+材料でプログラミングというものを説明してみたところ、すこぶる理解が良い。なるほど、これが比喩の力か。

まず初心者にとって、変数とか関数とか言われてもどれがどれか結びつかないのだ。何せ覚えたての言葉を使って初めて見るコードの構造を把握しようとしているのだ。

f:id:t-hom:20170308002345p:plain
無理とは言わないが難しいことである。

よく慣れ親しんだ言葉でまずはざっくりとプログラムの構造を把握するという手法は有効だと思う。
f:id:t-hom:20170308002422p:plain

道具+材料の表現はこれからもちょくちょく活用していきたい。

あとfor文、While文、If文、エラー処理などの制御を電車の路線に例えているのは面白かった。

この書籍は、徹底した比喩表現にこだわった良書だと思う。

あとがき

なんでまたPythonの本を手に取ったのかというと、ツイッターでコーヘー氏とインストラクターのネタ帳の伊藤さんがPython入門書を褒めてたのを見たので、そんなに良いなら私もソレ買って読もうと思って。

ところが完全に記憶違いで、別の本を買っちゃったという話。

お二人が良いといってたのはこちらの書籍。

独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!

独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!

たしかなんかカラフルな表紙だったなーという程度の記憶でAmazonPython入門書を検索して、「ほう、たしかに評価が高い、これに違いない」という顛末。

まぁ結果的には正解だったと思っている。
特にアンチ比喩に傾きつつあった自分には良い薬になった。

VBA Excel表をHTMLのtableタグに変換するマクロ

先日メインサイトにXlRgbColor定数の一覧を掲載した。

色順に並べたXlRgbColor定数の一覧表 - You.Activate

今回はこれを作る時に使用したExcelマクロを題材に、VBAExcel表からtableタグを出力する方法について記す。

まずHTML化する前のExcel表を用意しておく。

今回使用したのはこちら。
f:id:t-hom:20170306221642p:plain
※7色で画面から切れてるが、実際は137色ある。

これを、冒頭で紹介したようにWebページで表示させるには、HTML形式に変化しなければならない。
具体的には、Excel表を以下のようなHTMLに変換する必要がある。

<table>
<tr>
<th>No</th>
<th></th>
<th>名前</th>
<th>RGB値</th>
<th>説明</th>
</tr>

<tr>
<td class="col0">1</td>
<td class="col1" style="background-color:#800000; width:30px;"> </td>
<td class="col2">rgbMaroon</td>
<td class="col3">128, 0, 0</td>
<td class="col4">栗色</td>
</tr>
<tr>
<td class="col0">2</td>
<td class="col1" style="background-color:#8b0000; width:30px;"> </td>
<td class="col2">rgbDarkRed</td>
<td class="col3">139, 0, 0</td>
<td class="col4">濃い赤</td>
</tr>

<!--以下略 -->
</table>

Excel表をhtml化するWebツールもあったが、セルの色までは再現してくれなかったので自作方法を覚えておくと役に立つかもしれない。

さて、タイトルでtableタグに変換するマクロと書いたが、実際にマクロで出力するのはtableの中身である、tdタグ
tableタグとthタグ(テーブルのヘッダー)もマクロで作ることはできるが、それほど手間でもないので今回は手入力とした。

マクロと手入力の分担は以下の通り。

<!-- ここから手入力 -->
<table>
<tr>
<th>No</th>
<th></th>
<th>名前</th>
<th>RGB値</th>
<th>説明</th>
</tr>
<!-- ここまで手入力 -->

<!-- ここからマクロ -->
<tr>
<td class="col0">1</td>
<td class="col1" style="background-color:#800000; width:30px;"> </td>
<td class="col2">rgbMaroon</td>
<td class="col3">128, 0, 0</td>
<td class="col4">栗色</td>
</tr>
<tr>
<td class="col0">2</td>
<td class="col1" style="background-color:#8b0000; width:30px;"> </td>
<td class="col2">rgbDarkRed</td>
<td class="col3">139, 0, 0</td>
<td class="col4">濃い赤</td>
</tr>
<!-- ここまでマクロ -->

<!-- 以下略 -->
<!-- tableの閉じタグも手入力 -->
</table>

つまり実際にマクロでは、以下テンプレートの[No]、[色値]、[色名]、[RGB値]、[説明]をループで次々と変更しながら出力すれば良いということ。

<tr>
<td class="col0">[No]</td>
<td class="col1" style="background-color:#[色値]; width:30px;"> </td>
<td class="col2">[色名]</td>
<td class="col3">[RGB値]</td>
<td class="col4">[説明]</td>
</tr>

※tdタグにそれぞれclassを付けたのは、列ごとに後からフォントサイズを調整しやすくするため。

さて、ここから実際にマクロを作成していく。

検証段階ではとりあえずDebug.PrintでHTMLを出力させるが、イミディエイトウインドウへは200行までしか出力できず、切れてしまう。
後で簡単にテキストファイルへの書き出しに切り替えられるよう一旦WriteLineというプロシージャを作っておこう。

Sub WriteLine(message)
    Debug.Print message
End Sub

こうすればマクロが完成した後にWriteLineの中身を書き変えることで出力先をテキストファイルに切り替えられる。
※こうした保守性の観点からのプロシージャ分割も重要。

次に今回はXlRgbColorの色見本を扱うので、テーブルのセルの背景色をそれぞれ個別に指定する必要がある。
出力するのはHTMLなので16進数の色表記を用いる必要があるが、Excel表では単なるRGBのLong値なので、これを16進数の文字列に変換するための関数もあらかじめ作っておく。

以下がその関数。RGB値を渡すと、HTMLで使用する16進数に変換してくれる。

Function RGBToHTMLColor(color_rgb)
    Dim r: r = color_rgb \ 256 ^ 0 Mod 256
    Dim g: g = color_rgb \ 256 ^ 1 Mod 256
    Dim b: b = color_rgb \ 256 ^ 2 Mod 256
    Dim hexR: hexR = Right("0" & Hex(r), 2)
    Dim hexG: hexG = Right("0" & Hex(g), 2)
    Dim hexB: hexB = Right("0" & Hex(b), 2)
    RGBToHTMLColor = "#" & hexR & hexG & hexB
End Function

そして、出力したい表のあるエクセルシートのシートモジュールに以下を張り付けて実行すると、イミディエイトウインドウにHTMLが出力される。

Sub 表をHTML化()
    For= 2 To 138
        WriteLine "<tr>"
        For= 1 To 5
            If= 2 Then
                Dim backGroundColor As String
                backGroundColor = RGBToHTMLColor(Cells(, 4).Value)
                WriteLine "<td class=""col1"" style=""background-color:" _
                    & backGroundColor & "; width:30px;""> </td>"
            Else
                WriteLine "<td class=""col" &- 1 & """>" _
                    & Cells(,).Value & "</td>"
            End If
        Next
        WriteLine "</tr>"
    Next
End Sub

注意:(私にとっては)単発ものなので、変数宣言もしてないしループ回数もリテラルべた打ち。良いコードとは言えないので、こちらを参考に汎用的なマクロを作る場合は適宜きちんと書いて。

さて、イミディエイトウインドウでは200行以上出力すると古いものから順に消えてしまうのでテキストファイルへの出力に変更したい。
ここでFileSystemObjectを使用するので、Microsoft Scripting Runtimeを参照設定しておく。

そしてWriteLineを以下のように書き換える。

Sub WriteLine(message)
    With New FileSystemObject
        Dim ts As TextStream
        Set ts = .OpenTextFile("c:\work\writeline.txt", ForAppending, True)
        ts.WriteLine message
        ts.Close
    End With
End Sub

※みなさんが利用する場合、パスは適宜変更が必要。また、追記モードで開くので試行錯誤する場合はいったんファイルの中身を消す必要がある。

これでtableの中身がテキストに出力されるので、あとは手入力のtableタグの中に張り付けるだけ。

VBA プロシージャのオーバーロード機能(もどき)を自作する

今回のネタは@mmYYmmddさんのつぶやきから生まれた。感謝。

さて、オーバーロードとは。
ふつう、Functionが取れる引数の数や型は固定されていてあまり自由が利かないのだが、引数の数や型によって処理を振り分けたい場合がある。
VariantやOptional、ParamArrayを活用することでこのような処理も可能であるが、一つの関数で処理を振り分けるとごちゃごちゃしてしまいメンテナンス性が落ちる。

これを解決するのがオーバーロードである。オーバーロードとは、引数の数もしくは型が違えば同名のプロシージャをいくつでも作成できる機能で、JavaC#C++などの言語には実装されている。
これを使えばあくまで別の関数として作れるので、複雑にならずにすむ。

残念ながら、VBAにその機能はない。そこで今回はオーバーロード(もどき)を実装してみたい。
業務コードでこれをすると複雑になるだけなので、ライブラリコードでしか使い道はないけど。

まず引数の型を判定するための関数をFunctionプロシージャで作成。

Function GetArgTypeString(ParamArray args()) As String
    Dim ret As String
    For Each x In args
        Select Case True
        Case IsMissing(x): ret = ret & "M"
        Case IsArray(x): ret = ret & "A"
        Case IsObject(x): ret = ret & "O"
        Case TypeName(x) = "String": ret = ret & "S"
        Case IsDate(x): ret = ret & "D"
        Case IsNumeric(x): ret = ret & "N"
        Case Else: ret = ret & "U"
        End Select
    Next
    GetArgTypeString = ret
End Function

この関数にいくつか引数を渡すと、文字列で型が返ってくる。
たとえば、1, #2017/3/5#, "Hello" の順で渡すと、NDSとなる。Number、Date、Stringである。

次に、たとえばAddという関数を作りたい場合、Addに先ほどの文字列をつけた名前で関数を作る。
タイプごとに4つ用意した。

Function AddSSM(a, b)
    AddSSM = a & b
End Function
Function AddSSS(a, b, c)
    AddSSS = a & b & c
End Function
Function AddNNM(a, b)
    AddNNM = a + b
End Function
Function AddDNM(a, b)
    AddDNM = a + b
End Function

そして、渡された引数によって実際の関数へ処理を引き渡すための、窓口となる関数を作る。
これが本来呼び出したいAdd関数。

Function Add(a, b, Optional c)
    Dim typeString As String
    typeString = GetArgTypeString(a, b, c)
    Add = Application.Run("Add" & typeString, a, b, c)
End Function

あとはメインコード。

Sub Main()
    Debug.Print Add(1, 2)
    Debug.Print Add("1", "1a")
    Debug.Print Add(#3/5/2017#, 1)
    Debug.Print Add("A", "B", "C")
End Sub

実行するとこのとおり。

 3 
11a
2017/03/06 
ABC

まぁ使い物になるかどうかはわからないが、私が類似の問題を抱えたときにアイデアの叩き台になればと思い、ここに残しておく。

念押しするが、アプリケーションコードでコレは余計複雑になるだけなのでやめておいたほうが賢明。ただライブラリを書く目的ならこういうのもアリかなと思う。

VBA 入門書を再評価する ~ チャレンジングな5冊をピックアップして劇甘レビュー

私は普段マニアックな記事ばかり書いてるが、実は入門者向けの教材なんてのも書いている。

さりげないアッピールはいやらしいので、堂々といこう。

宣伝!みんな、見てねっ!

EXCEL VBA 入門教材 急がば回れ!文法から覚えるやさしいVBA 入門

ダウンロードはこちら↓(無料)
ダウンロード - You.Activate


おっと。

今回はそれが本題ではなくて、巷のVBA入門書について。

私の教材のまえがきで、このように書いた。

すでに VBA の入門書はたくさん出回っていますが、私が知る限りはどれも似たような構成になっています。はじめにマクロの自動記録、それからセルの操作などが続いて最後の方に申し訳程度に文法などが紹介されています。
VBA 以外の他のプログラミング言語は、まず文法から学習します。文法はプログラミング言語の要ですので、ここをしっかり理解しないことには、役に立つプログラムは作れません。しかしなぜか VBA に限っては文法を中心に解説された入門書が見つからず、前述のような状況です。

さて、自信満々に書いたものの単に私がそれほど多くの入門書を知らないだけということもありうる。
どれも似たような構成って、じっくり読んでもないのになんて失礼なこと言うんだろう、私。

ただ私が「どれも似たような」と書いたのは「構成」についてであって、似たような説明だとも、似たようなデザインとも、似たようなプログラムとも言ってない。それぞれの入門書をじっくり読んでみると、いかに分かりやすく読者に説明するか、涙ぐましい工夫が満載で、本気で「この本でプログラムができるようになってほしい」という想いが伝わってくる。

王道的な書籍も良いけど、私は新しい解説手法にチャレンジした書籍が好きで応援したくなる。

今回は私が特に気にいったチャレンジングな書籍について5冊レビューしよう。
どれも似たような構成と書いてしまったお詫びも込めて、わざとらしいくらい褒めちぎろう。

各書籍ごとのチャレンジをレビュー

Excel VBA 超入門教室 Excel2010/2007/2003対応 (教えて!蔵之介先生シリーズ)

[レビュー]
対話形式で、登場人物の美咲さんがコロコロ表情を変えるので超カワイイ。蔵之介のまったく変化しないシュールな顔も良い。Amazonのなか見検索で見られるので是非!更に題材として複数のブックから一つのリストへ転機するという超実用的なものを扱っており、即戦力になる。いや、そんなことより美咲さんがカワイイ!
すばらしい!

Excel2013/2010限定版 やさしく学ぶ エクセルVBA

Excel2013/2010限定版 やさしく学ぶ エクセルVBA

Excel2013/2010限定版 やさしく学ぶ エクセルVBA

[レビュー]
この書籍も対話形式。しかし私が気に入った工夫点はそこではなく、とにかくプログラムの文字が大きくハッキリしていること。
おそらくConsolasフォントを使ってると思われ、ゼロとオーの取り違えやアイとイチの取り違えもしにくい。
実物を見ると、でかっ!て突っ込んでしまいそうなくらい大きい文字であるが、まったく初めての方が写経するにはちょうど良い。プログラミングではドットやダブルクォーテーションなどの小さな記号をよく使うので、文字が小さいと見落としてハマってしまうことがあるが、この本は大きな文字で見落としにくい。
更に初心者に配慮して異例の日本語変数採用。入力は少し煩わしくなるけど、プログラムの理解しやすさはダントツ。
日本語変数はどちらかといえば否定されがちだけど、少しでも入門者に易しくという配慮はすばらしいチャレンジである。
感動した!

できるExcel マクロ&VBA 作業の効率化&スピードアップに役立つ本 2016/2013/2010/2007対応 できるシリーズ

[レビュー]
上級者が鼻で笑う「できる」シリーズ!おっと失礼。ただ私も正直ちゃんと読むまではバカにしてたのだ。ずっと生き残ってるし新しいOfficeが出るたびにすぐ出てくるので売れてるんだろうなとは思っていた。この書籍の良いところは膨大なスクリーンショットの数である。画面そのままなので、吹き出しに従って操作すれば一通り学習を進めることができる。ごちゃっとした印象を受けるのはサイドカラムのヒント情報量の多さによるもので、実際にはメインカラムの画像の指示に従って進めるのでそこまで不便ではない。
日本語変数を採用しているのも初心者向けの配慮として良い。まぁこのシリーズにおける日本語変数はチャレンジングというより割り切りに近いものかなと思うけれど。
それと驚いたのが無料電話サポートが付いている点。VBAを電話でサポート?正気かコイツら。。質問時間に制限はあるもののの、これはすごいチャレンジだ。
グレイト!

自分のペースでゆったり学ぶ Excel VBA

自分のペースでゆったり学ぶ Excel VBA

自分のペースでゆったり学ぶ Excel VBA

[レビュー]
この書籍の良いところは、「ドット」を日本語の「の・を」であると言い切ってしまったところ。
説明が全般的にわかりやすく、初心者を想定した読みやすい文章で専門書を読んでいるというよりふつうの書籍のようにスラスラ読める。
熊のイラストも良い。熊がカワイイってより、これを描いた女性らしい感性が素敵。見ていてほのぼのする。
グッジョーブ!

ExcelVBA超入門講座 Excel2010/2007対応

ExcelVBA超入門講座 Excel2010/2007対応

ExcelVBA超入門講座 Excel2010/2007対応

[レビュー]
これ、私にとって大本命!楽しさは他の書籍に譲る。硬派なあなたにピッタリの本格的なプログラミング入門書。
というのもこの本、「マクロの記録をしてみましょう」なんて甘っちょろいことはせずに最初から文法の要を説明している。
プログラミングは基本制御構造「順次」「選択」「繰り返し」でできている。つまりこれが要になるわけで、これがわからないといかなる便利なプログラムも組みようがないのだ。これが現実である。
他の書籍は幻想を見せてくれる。だが現実はつらい。乗り越えられる人もいるけど、挫折してしまう人も多い。この書籍では初っ端から現実にご対面だ。下手なごまかしはせず、サバイバルに必要な「道具」を最初から持たせてくれる。
エクセレント!

この書籍に対しては、私は「どれも似たような構成」という前言を撤回せねばならない。
お詫びおよび、最大限の賞賛として「購入」を贈る。

さっきAmazonでポチった。

あとがき

本当は入門書の目次構造をひととおり調べたので、他言語の目次と比較しながら変数や制御構造の説明が登場するタイミングについて書き、Excel プログラミングの特殊性について触れたかったのだけど、その際に入門書にきちんと目を通してみたら以外と良い点、工夫されている点が多く見られたのでお詫びと賞賛を込めていろいろ書いてたら当初の目的がそっちのけになってしまった。

長くなりすぎるのとレビューはレビューで一旦区切っておいたほうが利便性が良いかなと思うので今回はここで終わり。
次回、、、かどうかは分からないけどそのうち「VBA 入門書の目次から考察するExcelプログラミングの特殊性」について書こうと思う。

VBA パスカル記法を単語ごとに区切って配列で返すSplitPascal関数を自作する

今回はパスカル記法を単語ごとに区切って配列で返す関数を作成する。

前回このような記事を書いたのだが、
thom.hateblo.jp

この記事を受けて@Dev_Clipsさん(サイト)からツイッター「ImageMsoの"名前"の一致率も類似画像抽出に使えそう」とのヒントを貰ったためだ。

さて、ImageMSO画像のファイル名はパスカル記法になっている。

パスカル記法とは、英単語を並べる際、単語の始まりをすべて大文字にしてスペースを入れずにくっつけた形。

例) ThisIsAPascalNotation

今回作成するのはこれを単語単位に分割し、配列に格納するための関数である。
SplitPascal関数と名付けよう。

まぁただコード書いて終わりではあんまりなので、今回は作成プロセスを追って紹介するスタイルで書く。
くどいほど少しずつ組み立ててみよう。
Functionプロシージャの組み立て方がいまひとつ難しいという方の参考になれば幸いである。

1) 枠組みを作る

Function SplitPascal()
End Function

2) 引数、戻り値を決める

今回は文字列を渡すのでString型の引数を一つだけ。

Function SplitPascal(expression As String)
End Function

戻り値は今回Variant型にするので何も書かない。

3) 戻り値を返す処理を書く

戻り値の型はVariantであるが、そこに含める中身は配列なので、配列型でret変数を作ってとりあえずそれを返す処理にする。

Function SplitPascal(expression As String)
    Dim ret()
    SplitPascal = ret
End Function

ここまでが定石。どのようなFunctionでもこの流れで作れるのでマスターしよう。
あとは戻り値であるretをどう作りこんでいくかである。

4) 1文字ずつループさせるための、枠組みを作る

1文字ずつ検査して大文字かどうかを見る必要があるので、とりあえず文字数分ループ。

Function SplitPascal(expression As String)
    Dim ret(), i
    For i = 1 To Len(expression)
        '処理
    Next
    SplitPascal = ret
End Function

5) 1文字ずつ切り出してプリントしてみる

このあと文字を切り出して、検査・加工するのだが、その前にとりあえず動作がわかるようにプリント文にしておく。

Function SplitPascal(expression As String)
    Dim ret(), i
    For i = 1 To Len(expression)
        Debug.Print Mid(expression, i, 1)
    Next
    SplitPascal = ret
End Function

6) 呼び出してみる

メインコードを書いて呼び出してみる。まだ戻り値も何も使わないけど、とりあえず1文字ずつプリントされるところまで確認。

Sub Main()
    SplitPascal "ThisIsAPascalNotation"
End Sub

7) 大文字かどうかの判定

ここで文字コードの知識が活きる。といってもコードは知らなくても大丈夫。A~Zが連番になってることを知ってれば、Asc関数とIf文で切り出した文字がA~Zの範囲に収まっているか調べられる。

Function SplitPascal(expression As String)
    Dim ret(), i
    For i = 1 To Len(expression)
        Dim char: char = Mid(expression, i, 1)
        If Asc("A") <= Asc(char) And Asc(char) <= Asc("Z") Then
            Debug.Print "★"
        End If
        Debug.Print char
    Next
    SplitPascal = ret
End Function

このとき、大文字だったら★をプリントしたのち、charを出力。大文字でなければcharだけ出力される。
イミディエイトはこんな感じ。
f:id:t-hom:20170303234345p:plain

さて、ここで閃いた。これ、一文字ずつ出力しているが、★をスペースに置き換えて一つの文字列に足していったらどうか。

8) スペース区切りで出力

retを配列ではなくてただのString型に変更し、ここに結果文字列を足しこんでいく。

Function SplitPascal(expression As String)
    Dim ret As String, i
    For i = 1 To Len(expression)
        Dim char: char = Mid(expression, i, 1)
        If Asc("A") <= Asc(char) And Asc(char) <= Asc("Z") Then
            ret = ret & " "
        End If
        ret = ret & char
    Next
    SplitPascal = ret
End Function

メインコードは戻り値を出力する形に変更。

Sub Main()
    Debug.Print SplitPascal("ThisIsAPascalNotation")
End Sub

すると、イミディエイトウインドウに「 This Is A Pascal Notation」と出力される。
このままでは先頭に1つスペースが入ってるうえ、当初の目的である配列で返すってのができていない。

9) 最後の仕上げ

まあここまで来ればあとは簡単。
余計なスペースの件はTrim関数で解決するし、配列になってない件はSplit関数で解決する。
ということで、戻り値の代入部分をちょっといじるだけ。

Function SplitPascal(expression As String)
    Dim ret As String, i
    For i = 1 To Len(expression)
        Dim char: char = Mid(expression, i, 1)
        If Asc("A") <= Asc(char) And Asc(char) <= Asc("Z") Then
            ret = ret & " "
        End If
        ret = ret & char
    Next
    SplitPascal = Split(Trim(ret))
End Function

メインコードも配列を処理するよう変更

Sub Main()
    Dim word
    For Each word In SplitPascal("ThisIsAPascalNotation")
        Debug.Print word
    Next
End Sub

出力結果はこちら

This
Is
A
Pascal
Notation

以上で完成。

ただ当初の目的であったImageMSOへの応用はあまり芳しくなく。。
なんか名前ベースで探しても毛色の違うアイコンが結構ヒットするので苦労中。

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