t-hom’s diary

主にVBAネタを扱っているブログ…とも言えなくなってきたこの頃。

機器の給電をLANケーブルにまとめる技術 PoEについて調べてみた。

最近Raspberry Piをよく使うのだが、電源ケーブルが煩わしい。
ラズパイは本体サイズが小さい分、余計にACアダプターの大きさが邪魔に思えてくる。

ある日YouTubeを見ていて気付いたのだか、ラズパイを複数台でクラスタリングして使っている人たちがやってるのが、LANケーブル1本でラズパイを動かしているということ。

これ、調べてみるとパワーオーバーイーサネットという技術らしい。通信用ケーブルといっても要するに中身は電線なので、給電に使ってしまえということらしい。

これを実現するには給電・受電側がどちらもPoEに対応していないといけない。そしてPoE規格は複数あり、今主流なのが802.3af(電力15Wまで)と802.3at(電力30Wまで)の2種類らしい。30Wまで送れるほうは一般的にはPoE+と呼ばれている。

ラズパイでPoEを使うにはPoEハットというパーツが必要なようでこちらは一旦置いとくとして、PoEそのものに興味が出てきたのでPoE+対応スイッチを発注した。

受電側としてはちょうどいま家のWifiトラフィックが酷いことになってるので、PoE対応のアクセスポイントをメルカリで買ってみた。

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はい。オフィスで使うガチのやつ。
ちなみにPoE対応と書いてるが、実際にはPOE 802.atなのでいわゆるPoE+に対応している機器でないと動作させることはできない。
PoE+は通称であってPoEであることには変わりないため、表記上はPoEとされることも多い。対応機器は下調べが必要。下位互換はあるので既にPoE+対応のスイッチングHUBを持ってたら心配しなくて良い。


ところでLANケーブルはどうしたら良いんだろうか。
なんでこんな疑問を持ったのかというと、信号線を電力線として使うのって本当に大丈夫なのか?きっと専用の線があるに違いないと。

電気通信は2進数でオンかオフで判別できれば良いので微弱な信号で十分に事足りる。電力線として使うなら大きな電流を流すためにもっと太い線を使うはずだと考えた。

調べたところ、PoE+で使う場合もCat5e以上のケーブルならOKとのことなので、Cat6Aのケーブルを買ってきた。
ただ店頭でCat7を謳う極細ケーブルを見かけてまた疑問が生まれる。Cat5e以上ならOKという判断になるはずだけど、この細いのを電力線として使うのはさすがにまずいのでは??

それで調べてみたところ、その極細ケーブルは銅線1本あたりが30AWGというサイズらしい。紛らわしいのだが、この値が小さいほうが太いケーブルで私が買ったのは26AWG。

最大で流すことのできる電流値にも2倍以上の開きがある。
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ここでまた疑問に思ったのが、ラズパイ4だと5V 3A電源を使っているので、最大電流値は2.2Aでも足りないのでは?ということ。
まぁ電気の専門家に言わせれば何いってんだという感じかもしれないけど、私は素人なので割と真面目に危ないのではと思ったのだ。

そこでPoE+の規格を調べてみたら、30Wといっても、電圧が50–57Vもあるらしい。
systemk-camera.jp

電力(W)は電圧(V) × 電流(A)で求められる。30Wを50Vで割るとわずか0.6Aである。またPoEでは8芯あるうちの4芯を送電に使われるらしい。+極と-極があるので2ペアである。となると片側15Wで済むので、ケーブルを流れる電流は0.3Aとなる。なので、最大電流値には達しないことが分かる。

ただ最大電流値は一瞬でもオーバーすると危ない値であり、最大電流値を下回っていても流し続ける場合は注意が必要だ。ケーブルは15℃以下で使うのが安全らしく、検証によると28AWGあれば、100本くらい束ねてPoE+で電流を流し続けても安全だったらしい。

データセンターならともかく、自宅で何十本もケーブルを束ねるシーンは無いと思うので、まぁAWG30でも直ちに危ないということではないのかもしれない。ただまぁ個人的にはAWG28またはより太い(つまりAWG値が28以下の)ケーブルをおススメしたい。

AWG値はLANケーブル自体に印字されていることが多いので買う前に確認できるかと思う。
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さて、ここでまた電気知識の乏しい私は疑問に思った。
結局電圧を上げても30Wを送ってることに変わりはないんだから、電流が低いからといって安全と言えるのか、と。

そこでまた色々と調べたところ、ジュールの法則によると熱は電流・抵抗・時間によって発生するらしく、電圧は熱には関係ないらしい。

熱量=電流(A)の二乗 × 時間(秒)

発電所からの電力が高圧線で送られるのも同じ理由で、同じ電力でも高圧のほうが電流を下げることができて熱による電力喪失が少ないからという理由らしい。

つまりPoEも電力を高圧・小電流で送ることで細いケーブルでも発熱(≒電力喪失)を抑える効率的な仕組みだということが理解できた。

原理が理解できたので、これで安心してCat6A 26AWGのケーブルでPoE+送電に取り組めそうだ。

ちなみにWikipediaによると電力を送っている関係で稼働中のLANの抜き差し(ホットスワップ)は想定されていないらしく、抜き差しする端末側は先に電源を落とした方がよさそうだ。

実際にPoE対応のスイッチが届くのは明日の予定。
ちょっと奮発して多機能なスイッチを買ったので、届いたらしばらくはネットワーク回りで色々遊んでみたいと思う。

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