前回ラズパイの電力不足についてACアダプタが原因だったと書いたけど、実は原因究明のために可変電子負荷モジュールを発注していた。
電子負荷はちゃんとした製品を買うとローコスト版で5~6万、高いものだと20万近くもする。
簡易実験用として基盤むき出しのタイプがAmazonで沢山売られているが、ちゃんとケースがついててこの値段というのはまぁまぁいい感じ。
ちょうどさっき届いたので共立電子のACアダプタを試してみたい。
ちなみに同梱物は本体のみで説明書の類は無い。Amazonの商品説明画像がすべて。
ケーブル類もついてないので電源供給は自分で準備が必要なので注意。モジュールという名前のとおり、製品というより部品扱いである。
裏側には負荷装置自体の動作に必要な電力源を繋ぐVと記号の書かれた端子と、テストしたい電源(電池やACアダプタ等)を繋ぐLと記号の書かれた端子がある。
端子Vには5~30Vを供給すれば良いので適当にUSBケーブルを接続。端子Vへの給電はパソコンのUSBバスパワー程度の電力で足りる。プラスマイナスだけ逆接しないよう注意。
端子Lには共立電子のACアダプタを繋ぐのでとりいそぎ秋月で買った4Aまで対応しているDCジャックを繋いだ。マル信無線電機製の普及品は0.5Aまでしか対応してないので要注意。
まずは無負荷でテスト。5.13Vと表示されている。
使い方は、ON/OFFボタンで負荷のON/OFFを切り替え、ノブを右に回すと0.01Aずつ電流が上がっていくので、負荷がオンになっていると通常は※電圧が低下していく。
※ACアダプターによっては内部の制御で逆に電圧が上がるようなものもあるとのことなので一概には言えない。
ちなみにこの製品自体の表示が信頼できるのかも気になったので、いつものSANWA製のテスターを間に挟んで電流を計ってみたところ、0.02A程度のズレはあったものの値は追従してくるので誤差が広がることもなく、今回の実験に支障はないレベルだと言える。
では再開して、0.5Aで5.06V。
負荷が1Aになると4.98V。
あれ?以外と頑張ってるな。。
2Aで4.85V。
3Aで4.71V。
おかしい。ラズパイのときは4.5V程度まで下がってたのに。
ラズパイ3B+の推奨アダプターの定格電流は2.5Aだったはずなので、3Aも引っ張って4.71V確保できてるなら電圧低下警告の閾値を下回ることはないはず。
この電子負荷は最大5A、35Wまで引っ張れる使用だけどさすがに配線が発熱すると怖いのでこの辺にしておいた。なお3Aでも長期接続する場合は各配線の定格を確認する必要がある。ジャンプワイヤー等に使われるデュポン端子の定格が3Aなのでこれ以上はヤバそう。
このアダプターは公称値で定格5V/4A Load Regurationが±6%ということは4A引っ張っても4.8Vを維持するはずなので実験結果はやや低めだけど、電圧が公称値を下回ったのはアダプター以外の配線抵抗の影響だろう。
ということで共立電子製のACアダプターに問題はなさそうだ。
で、色々試したところ犯人は延長に使っていたコイツだった。
間に噛ませると0.5A引っ張っただけで電圧が4.7Vまで落ちる。さっきは3Aで4.7だったのに。
1Aだと余裕でUndervoltage。
さすがにこれ以上は怖いのでやめておいた。
ケーブルでの電圧降下が大きいということはそこで電力が損失してるわけなんだけどエネルギー保存の法則ってのがあって、損失といっても消えるわけじゃない。要するに熱に変換されてるということ。電流を引っ張りすぎて加熱・絶縁被覆が溶けてショート・大電流が流れて被覆が発火して火事。。というのが最悪のシナリオ。
ということで犯人も判明し、Amazonで該当の延長ケーブルの低評価レビューも書き終えてスッキリ。
ちなみに延長ケーブルの商品画像ではケーブル部にAWG22と刻印があったので断面積0.3sq相当。私が買ったのは1mなので計算すると、
電圧降下=(定数35.6 ×長さ1m × 電流1A)÷ (定数1000 × 断面積0.3sq)≒0.12V となるはず。
今回の検証では0.7Vも下がってるので到底AWG22とは思えない。あるいは初期不良品だったのか。。
今回冤罪を喰らわせてしまった共立電子のACアダプター自体はそこそこ優秀のようなのでまた何かに使おうと思う。