2~3時間、あるいはもっと時間をかけて作ったマクロを、操作ミスで消してしまうことがある。
「うっかりxlsxで保存してしまった」などは代表的なミスである。
ネットを探し回り、エラーと格闘して、必死の思いでやっと動くプログラムができたところで消えてしまうのは大変なショックである。
しかし、考えようによってはそれほど悪い事態でもない。
特にVBAのスキル上達を望んでいるのなら、これはチャンスでもある。
まず、一からつくりなおすとしても最初につくったときほどの苦労はしないはずだ。
おぼろげにでも記憶は残っているものだし、あまり日がたっていなければ「なんとなくこんな感じ」というところまではすぐに再現できる。
これは記憶の強化・定着につながる。
脳は(1)強い感情を伴ったことや、(2)何度も反復されたことを、良く覚えるようにできている。
マクロが消えてしまったというショッキングで強い感情(1)と、それを作り直すという行為による反復学習(2)により、ガッポリ経験値が入ると考えてみてはどうだろうか。
どうしても最初にかけた時間がまるっきり無駄になったように感じてしまいだけれど、二度目に作るときは案外さくっと作れてしまうものだ。これが「身についた」ということなんじゃないかと思う。まったく無駄ではない。
それに、一度つくったマクロを後生大事にとっておくのは、VBAの上達を考えるとあまり良いアイデアではないかもしれない。
私もかれこれ10年ほど、似たようなマクロを何度も作っている。それは単にファイルの管理が下手なせいである。
後生大事にとっておくつもりが、どこに仕舞ったかわからなくなり、作り直した後でひょっこり出てきたりするのだ。
また、変数名を適当につけすぎてもはや読めなくなったり、バックアップをとらずにそのまま改変して使い回しが利かなくなったりすることも多々ある。
しかし、結果的にそれが良かったのだと思う。
何度もマクロを作っているおかげで今では思いついたアイデアをぱぱっとコードで書けるようになったし、何度も同じことを調べなおしたおかげでかなり知識もついた。
ということで、マクロを消してしまった諸君、そんなに落ち込むことはない。
これはチャンスなんだ。
まあ苦労して作ったものをわざと捨てることもないだろうけど、「絶対に無くしてなるものか」などと考えてると上達が止まってしまうかもしれない。無くしたら無くしたで、また作ればいいやくらいに軽く構えておきたい。